題名の通りです。
私の解説動画、基本的には動画最後に参考文献を記載してるんですけど。
でもURL書いたってアクセス出来ないし、そもそも該当部分も分からんしで「私の保身以外で役に立ってねぇな」って最近思ったので該当部分ごとにブログでまとめます。
決して「参考文献の列挙は割と編集が面倒な割に役に立ってない、ひじき祭の締め切り近くてそんな無駄な事やる時間的余裕はない」とかそんなんじゃないです。
と言うわけでネタ要素は0です。解説の話しかしません。
なおpdfへの直リンクとかもあるのでご注意を。(いずれも2023年8月30日最終閲覧)
劇場パートから衛生担当部分
・「四日市喘息で一番影響が強かったのはSOx」
特にエネルギーのほとんどに、硫黄分の多い中東原油を使っていたため亜硫酸ガス(二酸化硫黄)が大量に排出されました。
住民にぜん息患者が多く見られることとなり、これが 「四日市ぜんそく」とよばれました。
Q.二酸化硫黄じゃん。SOxじゃなくね?
A.独立行政法人 環境再生保全機構「大気環境の情報館」より。
二酸化硫黄(SO2)などの硫黄酸化物(SOx)は、石油や石炭など硫黄分が含まれる化石燃料が燃えるときに発生し、ぜん息や酸性雨の原因になります。
・「光化学スモッグの原因は、光化学オキシダントっていう物質だよ」
「光化学オキシダント濃度が一定以上になって、大気にもやがかかった状態の事だけど」
環境省「揮発性有機化合物について 光化学スモッグのないくらし」より
因みに、光化学スモッグの原因になるNOxは、それ自体酸化力の強いオキシダントですが、光化学オキシダントには含みません。(衛生化学詳解 下 P.516)
・「まず大気ってなんじゃらほい」
日本科学協会「大気はどこにあるの?」
・「水35L、炭素20㎏、アンモニア4L、石灰「それは人体の組成や。」
君のっ手でー切り裂いてー
どうでもいいんですけど合計6万くらいあれば揃えられるらしいですね。
『鋼の錬金術師』でエドワードが「人体の材料は小遣いでも買える」と言ったが、具体的にはいくら?
・「窒素が約80%、酸素が20%くらいで残り数%が二酸化炭素とかでしたっけ。」
「滅茶苦茶細かく言うならこんな感じ。」
・「対流によって空気は滞留しないで済んでるってわけだね!」
・「物理的な拡散~(中略)~空気組成を変化させる物質は広い意味での大気汚染物質になるよ」
生物担当部分
・全編通して
衛生科学詳解 下 第二版のp.509~p.511(ISBN:978-4-906992-88-1)
・「はたらく細胞で見た」「はたらく細胞Blackで見た」
・「あれも肺まで達するから問題になるわけです」
化学担当部分
一酸化炭素(CO)
・具体的には発生機構別に「一次汚染物質」と「二次汚染(以下略
・「タバコに限らず、不完全燃焼によって発生するね。」
・「大気汚染的には、自動車のアイドリング時に発生することが多くて問題になってたよ。」
衛生科学詳解 下 第二版のp.511(ISBN:978-4-906992-88-1)
・「まぁ重点的な対策が行われたから現在はかなり改善されてるけど。」
→自動車排出ガス規制の話です。「66年規制」「76年規制」「78年規制」など段階的に規制されてきました。
・「排ガスが通り抜ける過程で化学反応を起こし、一酸化炭素を二酸化炭素にしています。」「これを実現しているのが三元触媒だけど(以下略)」
|
上記論文にある反応機構。 |
・
「そんな一酸化炭素ですが、ヘモグロビンへのくっつきやすさは酸素の250倍、でも離れる速度は酸素の1000分の1。」 衛生科学詳解 下 第二版のp.316(ISBN:978-4-906992-88-1)
・解説枠内「ミオグロビンともくっつきやすい」
→因みに言うならO2と比較して40倍程度ミオグロビンにくっつきやすいそうです。
公衆衛生が見える 2020-2021のp.402 (ISBN:978-4-89632-779-3)
硫黄酸化物(SOx)
・「硫黄を含む化石燃料とかの燃焼によって二酸化硫黄とか三酸化硫黄が生じる(略」
・「曝露量とかを無視していいなら、硫酸ミストの方が危険かな。」
化学的な考え方からすれぱ,硫酸は強酸であるのに対して,亜硫酸は弱酸である。もし吸入した空気中に硫酸ミストが含まれているときは,この硫酸ミストは
上気道または気管支の粘膜に付着し,これが付着した粘膜の局所は,強酸であるための強い刺激を受ける。
もし硫酸自身の濃度が高ければ,濃硫酸の脱水作用の
ために粘膜組織は破壊をうけるであろう。これに反して亜硫酸ガスは,吸入する空気中に分子状に均一に混合されていて,同じモル数の亜硫酸ガス分子が上気道または気管支の粘膜に付着しても,すぐに水に溶けて,希薄な水溶液となり,このために粘膜に対する酸としての刺激は,硫酸ミストに比べてはるかに小さいものであろうと推定される。
(1)刺激作用については、同じモル数で硫酸ミストのほうが,亜硫酸ガスに比べて、はるかに強い影響を
もっている。たとえば、気道抵抗変化は亜硫酸ガスで
は1.6ppm、硫酸ミストでは0.35mg/m3以上で現われる,亜硫酸ガス1.6ppmは,換算すれば硫酸ミスト6.4
mg/m3に相当する.
・「炎症を起こす場所も違う、二酸化硫黄とか三酸化硫黄は水に容易に溶けるから上気道とか気管支で炎症を起こす」
衛生科学詳解 下 第二版のp.512(ISBN:978-4-906992-88-1)
・「当時の石油には硫黄が結構含まれてたからねー」
・「まぁその後、排煙量の規制、燃料からの硫黄分除去とかが行われた結果、現在汚染状況はかなり改善しています。」
排煙量の規制
燃料からの硫黄分除去
3.4 脱硫装置 水素化脱硫装置(Hydro desulfurizing plant:HDS)
は,ガソリン・灯油・軽油等の留出油中の硫黄分を
0.001 質量%以下に除去することができる.減圧軽油を脱硫する装置は,間接脱硫装置で,常圧残油や減圧残油の脱硫装置は直接脱硫装置(Residue
Hydrodesulfurizing plant;RDS)と呼ばれる.いずれも触媒を用いて高温高圧の条件で水素と反応
させて,硫黄および窒素などの不純物を硫化水素,ア
ンモニアとして除去する.原料が重質になるほど反応
が難しくなるので,減圧軽油と残油の脱硫装置は軽油・灯油の脱硫より厳しい条件(高圧力・高温度)で反応させる.
かなり改善しています。
→ 独立行政法人 環境再生保全機構「二酸化硫黄(SO2)の概要、年平均値の推移」
窒素酸化物(NOx)
・「一口に窒素酸化物って言っても(中略)当然、燃料をどれだけ精製しても関係がない。」
衛生科学詳解 下 第二版のp.513(ISBN:978-4-906992-88-1)
・解説枠内「特に一酸化窒素(NO)は酸素の30万倍くっつきやすい。」
前田 信治「一酸化窒素吸入ラット血液中のヘモグロビン傷害の反応速度論」
一酸化窒素がヘ モグロビンと極めて強く結合することはよく知られた事実であ り,Hbの2価 のヘム鉄に対する結合は酸素の30万倍である。したが って,0.4
ppmのNOと平衡状態にある血液中のヘモ グロビンの50%はHb-NOとなり、homotropic allosteric effectを考慮すれば,血液の酸素運搬量は正常の約1/4以 下 となり死に到るはずである。 しかし,すでに報告されている動物実験や今回の実験で用いられたNO濃度,更にハイウェイ ・トンネル内労働者の調査で調べられたNO
濃度はこれをはるかに上まっているにかかわらず,死亡することはない。これは(1)吸入したNOが気道から肺胞内で酸素と反応してNO2となること,(2)Hb-NO
を生成しても酸素との反応 でMetHbに転換され,やがてMetHb還元酵素系によって還元されること,(3)HbO2と反応してMetHbをつくるNO2- が代謝,排泄される こと,などによっている。すなわち,in vitro実験から予想されるような量 のHb-NOは形成されないためである。
・「だから改善傾向ではある。」
独立行政法人 環境再生保全機構「二酸化窒素(NO2)の概要、年平均値の推移」
揮発性有機化合物(VOC)
・「揮発性有機化合物、まぁ漢字だけみるとややこしいけど有機溶剤だと解釈して問題ありません。」
主要なVOCは、塗料、印刷インキ、接着剤、洗浄剤などに使用されており、おおざっぱに「有機溶剤」と考えておけばよいでしょう。
※投稿者雑記:(雑に言いすぎている気もするけど、まぁええやろ…。)の精神で生きています。
・解説枠内「WHOの定義(略)」
一般社団法人 東京顕微鏡院「揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds=VOC)とは」
※投稿者雑記:WHOの原文を当たったわけじゃないので、孫引きです。あまりよろしくない。まぁ他の箇所でも何カ所かやってるけど。
・ガソリンべーパー関連
九都県市あおぞらネットワーク「ガソリンベーパー対策について」
・「滅茶苦茶適当に言うなら燃える液体全般」
想定されるツッコミ:トリクロロエチレンとかは有機溶剤だけど燃えねぇじゃねぇか!!!
→ゴメンね!!!!!!(知ってるけどガン無視していくスタイル)でも燃えるなら有機溶剤ってだけで、燃えない場合は有機溶剤じゃないとは言ってないからセーーーフ!!!!
・「臭いがキツイとかで規制されているのもある。」
東京都地域結集型研究開発プログラム「第4章 排出されたVOCの影響と評価法」
光化学オキシダント(Ox)
・「他の物質を酸化させる作用が強い物質の総称」
・「オキシダントの中でも、紫外線などの強い光による化学反応によって生じるものを「光化学オキシダント」と言います。」
衛生科学詳解 下 第二版のp.515(ISBN:978-4-906992-88-1)
・オゾンの生成機構関連
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環境省の試料より、PAN生成機構
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・
「大気中の濃度によってそれぞれ注意報、警報、重大警報が出されますが(略」
・「いやー、全国平均としては近年横ばいと言うか、なんだったら微妙に上昇傾向と言うか」
・まずは「大陸とかから汚染物質が流れてきてるんじゃね」って説。
※投稿者雑記:越境汚染による影響は確定っぽいけど、じゃあそこの原因がどこなのかで割と意見が分かれてるらしい。「いやどう考えても中国由来やろ」って思ってたらヨーロッパからの影響の可能性もあるらしくて「はえー」って感じ。
でも上記の環境省の資料に
平成 18 年度以降に初めて注意報が発令された地域における初発令月は、4 月~6 月に
集中している。
っていう記載があって「いや大陸経由やん!黄砂が多い時期と被ってるやん!」ってなった。でも相関関係程度だし、資料でも大陸経由とは断言してないから動画でも言ってない。
・「植物由来説もある」
・「でもVOCが減らず、NOxだけが減ると余計に光化学オキシダントが増えるんじゃないかっていう報告もあったりします。」
物理担当部分
・「粒子状物質と一口で言っても、大きさや状態によってこんな感じに分類されます。」
衛生科学詳解 下 第二版のp.517(ISBN:978-4-906992-88-1)
・「急激に金属を熱すると一部が気体になるんだけど、それが空気中で冷え固まって浮いてる状態」
・「アーク溶接の時とかに発生するけど、まぁそういうの扱う職業以外じゃ聞かないと思うな」
衛生科学詳解 下 第二版のp.517(ISBN:978-4-906992-88-1)
・(SPMについて)「こういった対策の成果もあって現在は改善傾向だね」
・「と言っても大陸から来る黄砂の影響とかもあってまだちょくちょく話題にはなってるけど」
・「まぁそもそもPM2.5ってなんじゃらほいって話なんですけど、一般的にPM、particulate matter,は粒子状物質全般を指すんだよね。」
・「ただ大きさと言っても粒子の直径じゃぁない、空気動力学径というものを指すよ。」(等の空気動力学径関連全般)
→関連した話題で解説枠内:ただこれ、原理上の話です。測定上や厳密な定義とは若干違う
どういう意味かは
です。 細かい粒子の方を測定するわけですが、まぁ重たい粒子も混じります。だから測定上でも2.5μm以上のものが含まれるわけですね。何言ってんだコイツ。正直理解できん。なので動画では解説してません。
・「一番長い所でいいんじゃないですか?」「まぁそういう測り方もあるけど」
・「表面積(正確には比表面積)から平均粒子径を算出する方法もあったりして面白いから興味あればぜひ。」
一番長い所を測る方法を、「定方向最大径」とか言います。他の方法はこのサイトが参考になります。薬学生は薬物動態学の本を読んでください。
・構造計画研究所「【粉体】Vol.3 粉体の大きさ」
https://www.sbd.jp/column/powder_vol3_powder-size.html
・「具体的には炭素や硝酸塩、硫酸塩、金属などを含む混合物だね」
法規・制度・倫理担当部分
・「それ以前には「公害対策基本法」と「自然環境保全法」がありました」
・「この時期の法律ラッシュは凄くて、翌年(1968年)には大気汚染防止法、(以下略)」
・経済調和条項関連
ここでIAちゃんに「調和?」って言わせるの止めた私の理性を誰か褒めて。
「生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする」との、いわゆる「経済調和条項」が置かれていた。これは、現実の公害対策の局面においては産業発展との関連がきわめて深刻な調整課題となる事態が多いことにかんがみ、公害対策と産業発展の理念との関連については、何らかの規定を置く必要があるのではないかという意見を反映して置かれたものである。こうした意見の背景には、産業は厳しい国際競争に直面していてその負担には限度があるから、これに一方的に過重の負担を課して産業の存立を脅かすことのないよう、特に慎重な配慮を加え、産業の健全な発展と生活環境の保全との調和をはかる方針のもとに公害対策を推進すべきであるとする産業界を中心とした認識があった。しかし、この「経済調和条項」については、昭和45年に、ともすれば経済優先と誤解されがちであるとの理由で削除された。
・「自然環境の保護については自然環境保全法を基本として、各関連法規で対応していました」
・スパイクタイヤ防止法関連
・「具体的には一般環境大気測定局と自動車排出ガス測定局が設置されています」
・こんな感じの施設が全国各地に合計1796局(R3年末時点)あり、大気汚染の状態を把握しているわけですね。
・PM2.5のグラフ作成に使ったデータ取得先
・上記以外のセリフ
衛生科学詳解 下 第二版のp.522-528(ISBN:978-4-906992-88-1)
中継部分
・「妻沼中央公民館に来ていまーす。」
・「「特急カメ号」として親しまれたキハ2000型が見れるのは全国でもここ、妻沼中央公民館だけ!」
因みに公民館の人に言えばカメ号の中も見れます。
なんで唐突な宣伝をしたかと言うと、許可を取る際に「ネットで電車とか大気測定局とか(小声)を紹介したいんですけど許可いりますかね」って聞いたら、職員さんが結構嬉しそうにしてくれたから「これは紹介するしかねぇな」って。
後、昔電車にハマってた頃に結構行った。当時は中に入る許可もいらなかった覚えがある。どうでもいいですね。
・「周辺に建物や樹木による吹き溜まりや乱気流が発生する場所をさけるのが望ましいとされている」
・「よく分かるのはこのPM2.5を測定するための装置(の、空気取り入れ口)ですね」
・「空気取り入れ口から測定部分までは直線(正確には鉛直)にする必要があります」
・「マニュアルによればこんな感じなので、似たようなものじゃないでしょうか」
・「中にある機械が、一定時間ごとにデータを自動送信しています。(測定自体は毎分測定)」
因みに動画じゃPM2.5の取り入れ口って言ってますが、正確に言えばPM10です。
この図を見ると物理担当のところで言った「ポンプで空気を吸引して粒子を含む空気の流れを作り,その流れを曲げた時に大きい粒子は慣性によって流れから外れ,細かい粒子は流れに乗ってそのまま進むという原理を応用している。」が分かりやすいですね。
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「第3章 大気汚染自動測定機」より |
・後は他の大気採取管になりますね。
東京TECHブログ(東京都技術会議)「東京の大気監視」
https://note.com/tokyo_tech/n/n2f8e10963599
このブログ見る感じ、多分大気測定管だと思うんですけど、若干自信がない。
だってマニュアルに図が乗ってないし。
でもマニュアルには「小型昆虫の進入防止のため採取口に防虫ネットをする場合等もある」とか「採取管は、雨水等が入らないように先端にロ
ート等を付け下方に曲げる」とか「吸着性の大きい二酸化硫黄、窒素酸化物、非メタン炭化水素には、吸着性の少ないポリ
テトラフルオロエチレン(以下「四フッ化エチレン樹脂」という。)か硬質ガラスを用いる。2)分解の大きい汚染物質
分解の大きいオキシダントには、四フッ化エチレン樹脂か硬質ガラスを用いる。」とかの記載があります。
で、ここの測定局で測定しているのはPM2.5とSPM除けば二硫化炭素、窒素酸化物、オキシダントなので、硬化ガラス製なら問題なさそう。
んで、まぁ大気採取管(?)の先端見ると、防虫ネットっぽいのとか、雨を凌ぐようにカバーついてたりとか、管もなんか透明(ガラス?)だったりするので、多分これが大気採取管ですね。知らんけど。
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自分で撮った大気採取管?の先端写真。 |
東松山編
・「ダイオキシン等を測定するための機器だと思われますね」
この辺の商品じゃね?って感じです。
株式会社アイデック「ハイボリウムエアサンプラー HV-RW型(ダイオキシン用/粉じん用)」
https://www.ihdc.co.jp/rental/rental_hv-rw/
・流石に設置基準までは知りませんが、埼玉県の場合は県内22カ所で定期的に測定しています。
まとめ
と言うわけで参考文献でした。
ただ、解釈違いや読み間違ってる可能性があるので、何かミスに気付いたら動画の該当部分への指摘をよろしくお願いいたします。
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